火を使わない非常食|断水・停電時にそのまま食べられる備蓄の選び方

火を使わない非常食。一食を片付けまで試そうと案内するそなまる

「非常食は買ってあるから、食事の備えは大丈夫」。そう思っていませんか。お湯を沸かせず、料理をする気力もないとき、用意した食品をどう食べるかまで考えておきたいところです。

ここで見落としたくないのが、常温保存できる食品でも、食べる前に加熱や水戻しが必要なものがあることです。保存できるかに加えて、どうすれば食べられるかまで見ておきましょう。

そんなときのために、常温で保存でき、加熱も水戻しもせずに食べられる食品を備えておきましょう。缶入りのパンや乾パン、魚や肉の缶詰、加熱不要のおかゆなどが候補になります。商品の表示を確かめ、家族が食べられる主食とおかずを組み合わせることが、選ぶときの基本です。[1][2]

私は保存できる期間に加えて「開けて食べ、片付けるまでにどれだけ手間がかかるか」も考えて非常食を選んでいます。家にある食品を見ながら、調理できないときにも食事を用意できるか、確かめてみてください。

この記事の目次

調理せずに食べられる食品を備える

災害時には、電気・ガス・水道が止まることがあります。カセットコンロや水を用意していても、余震が気になったり、疲れていたりして、調理に取りかかれないことも考えられます。

お湯を沸かし、食品に注いで待ち、器に移す。普段なら負担に感じない作業でも、そのときの体調や気持ちによっては難しくなるかもしれません。私は温かい食事を作る備えと一緒に、開ければ食べられるものも準備しています。

コンロや水があっても、不安や疲れで調理が難しいときに備え、開ければ食べられる食品も用意する

農林水産省も、災害が発生した当日の備えとして、調理せずに食べられる食品の確保を勧めています。[1] なお、食品全体の備蓄は、最低3日分、できれば1週間分を家族の人数に合わせて用意し、地域の状況に応じて多めに備えることが目安です。調理不要の食品も、その備蓄の中に組み込みましょう。[3]

加熱・水戻し・保存方法を確かめる

「火を使わない食品」には、開ければ食べられるものと、水を注いで戻すものがあります。水や待ち時間も用意できるかによって、選べる食品は変わります。

開封して食べる食品、水で戻す食品、加熱する食品の違いと、表示で確かめる条件
食べるまでの準備 食品の例と確認すること
開封して食べる 缶入りのパン、乾パン、調理済みの缶詰、加熱不要と案内されたおかゆなど。保存方法と開け方、家族が食べられるかを確かめる。
水を注いで戻す 水で戻せるアルファ米など。火は不要でも、飲用できる水と待ち時間が必要。水の量と戻し時間は商品ごとの表示に従う。
加熱して食べる 加熱を求めるパックご飯など。常温保存できても、そのまま食べられるとは限らない。表示に従って使える熱源を用意する。

例えば、尾西食品のアルファ米は水でも戻せますが、水を使わずに食べられる食品ではありません。[4] また、サトウ食品は「サトウのごはん」について、商品に記載された方法で必ず加熱して食べるよう案内しています。[5]

さらに、加熱せず食べられる食品でも、冷蔵が必要なものは、停電で保存温度を保てない場合の備蓄には向きません。保存するときの条件と、食べるときの条件を両方確かめると、買い置きの中から使える食品を選びやすくなります。「要冷蔵」「加熱してお召し上がりください」などの表示を見ておきましょう。

主食とおかずを組み合わせる

そのまま食べられる食品が見つかったら、食事として組み合わせてみましょう。農林水産省は、主食に加えて、肉・魚・豆などのおかずや、野菜・果物を補える食品も備えることを勧めています。[2]

主食の缶入りパン、おかずの魚缶、果物缶を一食として組み合わせる例。飲料水も必要

主食の候補

缶入りのパン、乾パン、クラッカー、加熱不要のおかゆやご飯などから、家族が食べられるものを選びましょう。同じ主食でも、硬さや水分、食べたときの量は違います。乾いた食品を飲み物と一緒に食べてみたり、加熱不要のおかゆを試したりして、自分に合うものを探しましょう。

乾パンは、硬いものを食べられる人の候補です。乳幼児や、食事の硬さ・形に配慮が必要な人の備えは、普段から食べられる条件に合わせて別に選んでください。

ブルボン缶入カンパン100g

開けて食べられる主食にカンパン

ブルボン 缶入カンパン キャンディ入り|100g×24缶

水戻しや加熱をせず食べられるカンパンです。メーカーは、缶切り不要のプルトップ式と案内しています。[6] 硬さや味を確かめていて、24缶を管理できるご家庭の候補です。初めてなら、近所のお店などで少量を試してから、まとめ買いを考えましょう。

8,998円(税込・100g×24缶セット)

カンパン24缶の内容・保存条件を見る

おかず・野菜・果物の候補

おかずには、魚の味噌煮や焼き鳥、豆などの調理済みの缶詰が候補になります。缶詰やレトルト食品は製造時に加熱調理されており、温めずに食べられるものがあります。食べ方は商品ごとの表示を確かめてください。[7]

例えば、缶入りのパンに魚の缶詰と果物の缶詰を添える。あるいは、加熱不要のおかゆに調理済みの豆のおかずと、常温保存できる野菜ジュースを合わせる。主食だけで済ませず、おかずや野菜・果物を補える食品も一緒に選んでおきましょう。組み合わせは一例です。食べる量やアレルギーなどは家族に合わせてください。

内容量は、一度の食事で食べ切れるかも考えて選びましょう。残る見込みなら、小さな缶や小分けの商品も候補になります。次に紹介するさば味噌煮は1缶190gです。ひとりで食べるのか、家族で分けるのかによって、合う量は変わります。

信田缶詰のさば味噌煮190g缶

主食に合わせるおかずにさば味噌煮

信田缶詰 さば味噌煮 国産生原料使用|190g×24缶

国産のさばを信州味噌で味付けした缶詰です。[8] 普段からさば味噌煮を食べるご家庭のおかず候補です。主食は別に必要です。同じ味が24缶届くため、家族の好みと期限までに食べられる数を確かめてから選んでください。

9,405円(税込・190g×24缶セット)

さば味噌煮24缶の内容・保存条件を見る

紹介したセットの数は、家族に必要な食数や日数を保証するものではありません。届いた商品の期限、原材料・アレルゲン、保存方法をご確認ください。送料は購入手続きで確認できます。

飲料水と、開封・片付けの道具を備える

水戻しがいらない食品を選んでも、飲むための水は必要です。食品と一緒に飲料水も備えましょう。家族に必要な水の量や、自宅用・持ち出し用の選び方は、「水の備蓄は何リットル必要?暮らしに合わせた保存方法と持ち出し方」で紹介しています。

開封に道具がいるかは、食べる人が実際に試しておきましょう。手で開ける袋でも、自分には開けにくいと分かれば、はさみなどを一緒に備えられます。缶切りが必要な缶なら、缶切りも用意してください。開封後の缶やふたの縁で手を切らないよう、扱いにも注意しましょう。[11]

缶詰やおかゆには清潔なスプーンなども必要です。袋が器を兼ねる商品なら、別のお皿へ移さずに食べる方法もあります。使い捨ての器を備えるなど、断水中に洗い物を増やさず食べられるようにしておきましょう。

調理しない食事でも、食べる前の手指の衛生は必要です。農林水産省は、手洗いの水が十分にない場合、ウェットティッシュなどで汚れをしっかり拭き取ってから、アルコール消毒剤をもみ込む方法を案内しています。[9]

調理しない食事でも必要な手指の衛生。汚れを拭き取ってからアルコール消毒剤を使う

また、常温で長く保存できるのは、未開封で指定の保存方法を守った場合です。開けた後も同じように置けるわけではありません。冷蔵できないときにも残さず食べられるよう、一度に開ける量を考えて選び、開封後は早めに食べ切りましょう。[10]

食べ終えた後には、空き容器や残り汁の始末もあります。水で洗えないときに、食後に出るものをどう保管するかも考えておきましょう。食品のごみを密閉できる袋や、ふた付きのごみ箱も一緒に用意しましょう。災害時にはごみ収集が止まる場合もあります。浜松市は、収集停止中は自宅で保管し、生ごみなどは密閉するよう案内しています。分別や出す時期は、お住まいの自治体が発信する災害時の情報に従ってください。[12]

一食を、片付けまで試してみる

候補が決まったら、まず少量を買い、加熱不要と確認できた食品を温めずに食べてみてください。食べられることと、好みに合うことは別です。ハウス食品も、レトルト食品はそのまま食べられる一方、冷たい部分が残ると油っぽく感じることがあると案内しています。[13]

試すときは、家族が食べられるか、一食として足りるか、片付けまで無理なくできるかを確かめましょう。主食とおかずを並べ、食べる人が実際に開封し、備えているスプーンや器で食べてみてください。食後には、汁がどれくらい残ったか、容器を洗わずに片付けるなら何が必要かも見ておきましょう。「この袋は開けにくい」「ごみを保管する袋もいる」と気づければ、買い足す物も具体的になります。

缶や袋の数だけでは、一食分がそろったかは分かりません。おかずを数袋持っていても主食がない場合や、主食があっても家族には量が少ない場合があります。普段の食事で確認した量をもとに、家族の食事を何回分用意できるか考えましょう。

一度用意できるかだけでなく、食事のたびに同じ準備と片付けを続けられるかも見ておきたいところです。普段の忙しい日や疲れた日に取り入れてみると、自分にとっての手間も確かめられます。まとめ買いは、味・量・置き場所・支払いの負担を確かめてからでも構いません。

試して食べられると分かった食品は、日常の食事で消費し、使った分を補充できます。買い置きの量を保つ方法は、「ローリングストックのメリット・デメリット|食べ慣れた食品で備蓄を続ける方法」で詳しく紹介しています。

味や量、置き場所を確かめた食品を普段の食事で食べ、使った分を補充する

まとめ

調理できないときに備えるなら、常温保存でき、加熱も水戻しもせず食べられる食品を、主食とおかずで組み合わせましょう。食べやすさや開け方、飲料水、スプーン、ごみを保管する袋なども一緒に確かめておきましょう。

開ける、食べる、片付けるの三つの手順。開け方、味と量、汁と容器の始末まで試す

まずは家にある食品で、調理せずに一食を組めるか見てみてください。足りないものを少し買い足し、普段の食事で試しておくと、自分や家族が食べられる備蓄を選びやすくなります。

開けて食べられる主食:カンパンを見る 主食に合わせるおかず:さば味噌煮を見る

参考資料

  1. 農林水産省「特集1 非常食(2)」
  2. 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(3)」
  3. 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(1)」
  4. 尾西食品「アルファ米 商品情報」
  5. サトウ食品「よくあるご質問」
  6. ブルボン「缶入カンパン」
  7. 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「缶詰、びん詰、レトルト食品はそのまま食べられますか?汁も使えますか?」
  8. 信田缶詰「さば味噌煮国産生原料使用」
  9. 農林水産省「停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ」
  10. 農林水産省「これで解決!食中毒予防のポイント」
  11. 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「イージーオープン缶の正しいあけ方」
  12. 浜松市「災害時のごみの出し方について」
  13. ハウス食品「レトルト食品は、温めずそのままでも食べられますか。」