携帯トイレの使い方|袋の取り付けから保管・捨て方まで

携帯トイレの使い方。取り付けから片付けまでをそなまるが説明する

地震や台風のあと、断水や停電、排水設備の破損によって、自宅の水洗トイレを使えなくなることがあります。家で過ごせる状態でも、トイレの水を流せなければ、排せつ物を別の方法で処理しなければなりません。

そのときの備えになるのが、水を使わず袋の中で排せつ物を処理する携帯トイレです。ただ、用を足せれば終わりではありません。使った袋は収集までどこに置くのか、普段のごみと同じように出せるのか。使ったあとまで考えておくことも、トイレの備えの一部です。

この記事では自宅の洋式便器へ取り付ける袋・凝固剤タイプを取り上げます。いつ使う道具なのかを確かめたうえで、取り付け方、使用後の保管・捨て方、平時に一度試しておきたいことを説明します。

この記事の目次

携帯トイレはいつ使う?断水と排水管の損傷に備える

水洗トイレには流すための水と、汚水を運ぶ排水設備が必要です。災害で断水したときだけでなく、地震で排水管や下水道施設が傷んだときも、いつもどおり水を流せるとは限りません。[1][8]

排水管が破損した場合、水が出てもトイレへ流せるとは限らない

東京都下水道局は、地震後に配管が破損していると、汚水が逆流したり、破損した箇所から噴き出したりすることがあると説明しています。集合住宅では下の階へ逆流する場合もあり、まず管理会社へ問い合わせるよう案内しています。[8]

水が出ることと、トイレへ流してよいことは別です。排水設備を使えると確認されるまでは水を流さず、携帯トイレなどで処理します。自治体の下水道の使用制限や、建物の管理者からの案内も確認してください。[8]

携帯トイレとは?水を使わず、袋の中で排せつ物を処理する道具

携帯トイレは袋の中へ用を足し、凝固剤や吸水シートで排せつ物の水分を吸収して処理する道具です。便器へ流す代わりに、使った袋を取り外して口を結び、ごみとして処分できるまで保管します。[1][7]

携帯トイレは袋と凝固剤などで排せつ物を処理し、水で流さず保管する道具

ここで説明する袋・凝固剤タイプには便座が付いていません。自宅の洋式便器など、座って使える場所へ取り付けます。便座の付いた組み立て式の「簡易トイレ」とは、用意するものが異なります。[1]

自宅の便器に取り付けて使えるのは、建物とトイレ室内が安全で、便器に破損がない場合です。便器が割れている、天井や物が落ちそう、浸水しているといった場合は、その場所で使おうとせず、安全な場所で使える便座付きの簡易トイレなどを検討してください。[1][7]

自宅で過ごせるかを考えるときは、建物の安全と、トイレを含む生活の備えを確かめます。在宅避難の条件は避難所と自宅で過ごす場合の備えでも説明しています。

使う前に、袋の役割と道具を確かめる

洋式便器に取り付けるときは、用を足す袋とは別に、便器の水を覆う袋を使います。使った便袋を入れる防臭・保管用の袋も含め、三つの役割を確かめましょう。セットにどの袋が入っているかは商品ごとに異なります。

便器の水を覆う袋、排せつ用の袋、防臭・保管用の袋の三つの役割
便器に取り付ける袋と、使用後に使う袋
袋の役割 使う場所・目的
便器の水を覆う袋 便座を上げて便器へかぶせ、排せつ用の袋の外側が水で濡れるのを防ぐ。
排せつ用の袋(便袋) 下ろした便座の上から取り付け、その中へ用を足す。使用後はこちらを取り外す。
防臭・保管用の袋 口を結んだ使用済みの便袋を入れ、臭いや保管時の扱いに備える。製品や自治体が指定する方法で使う。

便器の水を覆う袋と、用を足す袋は別です。一枚だけを便器へ直接かぶせると、取り出すときに外側の水が垂れてしまいます。下側の袋を先にかぶせるのは、その水濡れを防ぐためです。[2]

下側の袋は付属の便器カバーや、便器を覆える大きさのポリ袋を使います。45L程度が案内されることもありますが、容量の表記だけで判断せず、自宅の便器へ無理なくかぶせられるかを確かめておきましょう。[1][3]

トイレットペーパー、袋を扱うときの使い捨て手袋、手指を清潔にするための用品、夜間の明かりも一緒に置きます。使うたびに別の部屋へ探しに行かずに済むよう、必要な道具をトイレの近くへまとめておきましょう。

携帯トイレの使い方を、取り付けから順に確認する

ここでは、洋式便器に便袋を取り付ける方法を説明します。袋の固定方法、凝固剤の量、使う回数は、手元の商品に付いている説明書を優先してください。

下側のカバーで水濡れを防ぎ、下ろした便座の上から排せつ用の袋を取り付ける

1.自動洗浄を止め、便器の水を袋で覆う

自動で水が流れる機能があるトイレは、誤って流れないよう、便器の取扱説明書に従ってその機能を止めます。便座を上げ、便器の水を覆うように便器カバーやポリ袋をかぶせてから、便座を下ろしてください。[3]

便器の底にたまっている水を、袋を付けるために抜く必要はありません。水はそのままにして、上から覆います。[2]

2.便座の上から排せつ用の袋を取り付ける

下ろした便座を覆うように便袋を広げ、袋の中へ用を足せる状態にします。袋が小さくて無理に引っ張らないと付かない、座るとずれるといった場合は、そのまま使わず、サイズと固定方法を見直してください。

下側のカバーと便袋を重ねて取り付けたあと、使用後に外すのはどちらの袋かも家族で確かめておきましょう。便器の水を覆うカバーは製品の指示に従って残します。[1][3]

3.商品の手順に従い、凝固剤を使って用を足す

凝固剤は用を足す前に入れる商品と、あとから入れる商品があります。インターネットの一般的な手順だけで順番を決めないでください。

例えばBOS非常用トイレセットは、便袋に凝固剤を入れてから用を足す手順です。一方、携帯用クイックトイレは、大便の場合は用を足したあとに凝固剤を振りかけるよう案内しています。同じ袋・凝固剤タイプでも、順番を入れ替えてよいとは限りません。[3][4]

大便にも使う場合は、大便に対応している商品か、必要な凝固剤の量や使い方も確認します。凝固剤は水分を吸収するもので、便そのものがすべて硬い塊になるわけではありません。[3]

確認した順番に従い、便座へ座って袋の中へ用を足し、説明書どおりに処理します。

4.便袋を取り外し、口をしっかり結ぶ

処理が済んだら、排せつ物をこぼさないよう便袋を取り外します。余分な空気を抜き、袋の口をしっかり結んでください。下側のカバーまで一緒に引き上げないようにします。

袋を使い回せるか、凝固剤を何回使えるかも、自己判断で増やさず製品の指定に従います。BOSの説明書では、便袋・凝固剤・防臭袋はそれぞれ1回につき1枚・1袋です。凝固剤や、凝固剤で処理した排せつ物を便器へ流してはいけません。[3]

5.防臭袋へ入れ、手指を清潔にする

口を結んだ便袋を防臭袋などへ入れ、指定された方法で外側の袋も閉じます。排せつ物に触れないよう手袋を使い、交換・片付けのあとには手指も清潔にしてください。水を使えるときは、流水と石けんで手を洗います。断水中は、ウェットティッシュや手指消毒用品なども用意し、自治体の衛生上の案内に従いましょう。[1]

使用後は、臭いと漏れに備えて保管する

携帯トイレは固めて袋を結んだら片付けが終わるわけではありません。ごみ収集が再開するまで、使用済みの袋を自宅で保管する場合があります。[5]

防臭袋でも臭いを完全には防げず、密閉した容器内に臭いがたまる場合がある

直射日光や高温・多湿を避け、子どもやペットが触れず、食品や飲料水と分けられる場所を考えておきます。宮崎市は、収集再開までふた付きのごみ箱に入れて保管するよう案内しています。容器や置き場所は、使う製品の説明書と地域の案内も確認してください。

防臭袋を使っても、置き場所の確認は必要です。BOSの説明書には、臭いを完全に防ぐものではなく、バケツなどを密閉すると、わずかに漏れた臭いが内部にたまる場合があると記されています。袋の口を結ぶことと、保管する場所・容器の扱いを分けて考えましょう。[3]

使用後の袋には排せつ物の重さが加わり、家族で使えば袋の数も増えていきます。大きな袋に入るだけ詰めると、収集場所へ運ぶときに持ち上げにくくなります。自分で持ち上げて運べる量に分けておくことも考えておきたいところです。保管場所は、未使用の箱が収まるかだけでなく、使った袋を置く余地があるかも確かめましょう。

携帯トイレの捨て方は、自治体の最新案内で確認する

使用済みの携帯トイレはどこでも同じ方法で捨てられるとは限りません。製品に「可燃物として処理できる」と書いてあっても、実際に出すときは、住んでいる自治体の分別・収集の案内に従います。

千葉市、宮崎市、碧南市で異なる使用済み携帯トイレの回収案内
自治体によって異なる使用済み携帯トイレの案内
自治体 公式に案内されている扱い
千葉市 携帯トイレを可燃ごみとして捨てられると案内。[6]
宮崎市 原則は燃やせるごみ。ただし一般の燃やせるごみとは袋を分け、災害時は収集日・場所・分別の変更に注意。[5]
碧南市 市の回収指示までは家庭で保管し、汚物処理袋は可燃ごみとは別に回収すると案内。[7]

普段から確認したいのは、何ごみか、ほかのごみと袋を分けるか、どこへ出すかです。災害後には収集日や排出場所が変わることもあるため、平時の出し方を知っていても、そのときの市区町村のホームページや防災情報を確かめてください。

買ったら一度、保管するところまで試す

私がおすすめしたいのは、一回分を実際に使い、袋を結んで保管するところまで試すことです。使った袋の重さや、次の一回分へ交換する手間は、備蓄の箱を見ているだけではつかみにくいからです。

取り付け、用を足す、袋を外して結ぶ、保管するところまで一回試す

手袋をしたまま袋を開けられるか、座ったときに袋がずれないか、説明書どおりに凝固剤を使えるかを確かめます。片付けでは、便袋と防臭袋の口を結び、用意した容器や保管場所へ収められるかまで見ておきましょう。家族も使うなら、一人だけが手順を知っている状態にせず、それぞれが一度試しておくことをおすすめします。

必要な回数と、セットに入っている袋を確かめて備える

使う回数の目安は1人1日5回、1週間なら35回分です。家族4人では140回分になりますが、普段の回数には個人差があります。家族それぞれの回数と備えたい日数を確認し、試用で使った分も補充してください。水や食料も含めた日数の考え方は、最低3日・できれば1週間の備蓄を勧める理由で説明しています。[1]

1人1日5回、1週間35回分、家族4人の1週間は140回分を目安にする

まだ用意していない場合は、回数だけでなく、便袋の大きさ、凝固剤の使用方法、防臭袋や便器カバーの有無まで見て選びます。便袋・凝固剤・防臭袋をまとめてそろえたい人には、次のようなセットが候補になります。

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BOS非常用トイレ(Bセット)50回分

排せつ用の袋、凝固剤、防臭袋をまとめて備えたい方に。メーカーの案内では、便袋・凝固剤・防臭袋が各50回分、便器カバーが2枚入っています。[3]

便器に取り付けるタイプで、便座本体は含みません。自宅の便器へ取り付けられるサイズか確認してください。50回分は4人家族の1週間分140回には足りないため、家族全員で必要な回数から購入数を考えます。

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Amazonのアソシエイトとして、そなまるストアは適格販売により収入を得ています。

まとめ

携帯トイレは災害で水洗トイレを使えないときに備える道具です。建物・室内・便器が安全なら、自宅の便器に袋を取り付け、説明書に従って水を使わずに処理できます。使用後は袋の口を結び、保管場所へ置いて、自治体の案内に従って処分します。

説明書、袋の取り付け、保管場所、自治体の捨て方を確かめる

まずは、手元の一回分を開け、取り付け方と、使い終えた袋の置き場所を確かめてみてください。買った回数分だけでなく、使ってからごみに出すまで準備できているかを、一度家族で確認しておきましょう。

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参考資料

  1. 函南町「備えていますか?簡易トイレ・携帯トイレ」
  2. 日本トイレ研究所「携帯トイレの使い方」
  3. クリロン化成「BOS非常用トイレセット」「取扱説明書(PDF)」
  4. 安心・安全・快適をつくる「携帯用クイックトイレ よくある質問」
  5. 宮崎市「【災害時】使用した携帯トイレはどう捨てる?」
  6. 千葉市「災害時のトイレ対策」
  7. 碧南市「自宅でできる携帯トイレの使い方」
  8. 東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」