自衛隊が来ても、すぐに物資が届くとは限らない。3日〜1週間の備蓄を勧める理由

支援が届くまでの備え。最低3日・できれば1週間の備蓄を解説するそなまる

災害が起きても、自衛隊や消防が来てくれれば、食べ物や水も何とかなる。そんなふうに考えていると、支援を受け取るまでの生活への備えが抜け落ちてしまうかもしれません。

私は知人の陸上自衛隊の方から、災害時には人命救助が優先されると聞きました。部隊が現地に到着しても、行方不明の方の捜索や、取り残された方の救助など、先に対応しなければならないことがある。その話から、改めて家庭の備蓄について考えました。

最低でも3日分、できれば1週間分の水や食料、生活必需品を用意する。 支援が十分に届かない時間を想定して、自分や家族の暮らしを支えられるようにしておくことが大切だと思います。

この記事の目次

人命救助が優先される災害直後

倒壊した建物に取り残されている人や、行方の分からない人がいる。大規模災害の直後には、一刻を争う救助が必要になります。

実際に、2024年の能登半島地震について、防衛省は発災翌日の1月2日、人命救助を第一に対応する方針を説明しています。一方で、同じ会見では、発災当日の夜から人命救助と生活支援などを始めていたことも報告されています。[1]

救助と生活支援は並行して進められます。ただ、部隊が来たその瞬間から、すべての家庭に必要な物資が行き渡るわけではありません。

私が知人の話から伝えたいのは、この点です。自衛隊が到着したという知らせを聞いて安心できることと、自分たちがその日の食事や水を確保できることは、分けて考える必要があります。

災害直後は人命救助を優先しながら生活支援も並行する。部隊到着と家庭への物資到着には差がある

支援が始まっても、自分の手元へ届くまでには時間がかかる

物資が被災地へ届いても、そこから各地の避難所や、支援を必要とする人へ届ける必要があります。道路が壊れていたり、集落が孤立していたりすれば、運ぶこと自体が難しくなります。

能登半島地震では、道路網が寸断され、陸路でのアクセスが困難だったため、自衛隊はヘリや艦艇などを使って対応しました。防衛省の会見では、避難所や孤立集落を一つずつ回り、必要な支援を把握したことも説明されています。[2]

道路の寸断などで、支援物資の拠点から避難所・集落、各家庭へさらに運ぶ必要がある

農林水産省も、災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流が止まって1週間はスーパーやコンビニなどで食品が手に入らないことを想定し、家庭備蓄を勧めています。[3]

こうした状況を考えると、最初の1週間、食料や水などの支援を十分に受けられない可能性も見込んで備える必要があります。「必ず1週間は何の支援も来ない」と決まっているわけではありませんし、7日目になれば必要なものがそろうという保証もありません。届く時期や量は、被害や地域の状況によって変わります。

さらに、支援を受け取るための負担も考えておきたいところです。例えば、給水場所で水を受け取れても、そこまで出向き、順番を待ち、重い水を家へ運ばなければなりません。水を入れた容器が揺れると、歩くときにバランスを取りにくくなることもあります。少量ずつしか運べなければ、往復も増えます。家族の介助や子どもの世話があれば、何度も往復するのは難しい場合もあります。

私は、家に水や食料があることには、こうした移動や待ち時間を減らせる意味もあると思います。支援が始まってからも、手元の備蓄が暮らしを支えてくれます。

給水が始まっても、給水場所へ行き、待ち、重い水を自宅まで運ぶ負担がある

最低3日、できれば1週間分を、家族の人数で考える

内閣府は、食料、飲料水、携帯トイレ・簡易トイレ、トイレットペーパーなどを、最低でも3日、できれば1週間分程度備蓄するよう呼びかけています。[4]

水の目安は、飲用と調理用を合わせて1人1日3Lです。[5] 保存方法や容器の使い分けは、水の備蓄量と保存・持ち出し方で詳しく説明しています。食事を1日3回で数えると、次の量になります。

1人分の目安 3日分 1週間分
飲用・調理用の水 9L 21L
食事の回数 9食 21食

例えば4人家族なら、1週間分の水は84L、食事は延べ84食分です。水の量には、手洗いやトイレなどの生活用水は含みません。湯せんや食品・食器を洗う水も別に考えます。

飲用と調理用の水は1人3日分で9L、1週間分で21L、4人1週間分で84Lが目安

食事の回数は、食品の袋数とは違います。ご飯だけで1食と数えず、非常食のおかずも組み合わせて、家族が実際に食べられる内容になっているか確かめてください。水や加熱が必要な食品ばかりにせず、そのまま食べられる非常食も用意しましょう。

1週間分と聞くと、費用も置き場所も気になると思います。まずは家にある常温保存の食品を確認し、3日分に足りないものからそろえ、少しずつ1週間分へ近づけていく。その進め方なら、取りかかりやすくなります。

普段食べる缶詰やレトルト食品を少し多めに持ち、食べた分を買い足すローリングストックという方法もあります。乳幼児のミルクや食物アレルギーに対応した食品など、家族に合うものが必要な場合は、備蓄の内容に含めてください。

食料だけでなく、携帯トイレなども人数と日数に合わせて確認します。私は、備蓄を「食べ物を何個買ったか」で終わらせず、電気や水道が止まった状態で家族が生活できるか、というところまで考えることが大切だと思っています。

まとめ

知人の陸上自衛隊の方から聞いた、人命救助が優先されるという話。そこから私が伝えたいのは、支援を待つ間の暮らしにも準備が必要だということです。

救助や医療が必要なときは支援を求め、危険があれば避難を優先してください。そのうえで、家庭では最低3日分、できれば1週間分を目安に備えましょう。

まずは家にある水と食料を数えて、家族全員で何日過ごせるかを確かめる。足りない分が分かれば、次の買い物で何を足すかも決められます。

部隊到着と物資到着の差を知り、最低3日・できれば1週間、家族全員で何日分あるか数える

出典

  1. 防衛省「2024年1月2日 防衛大臣臨時記者会見」
  2. 防衛省「2024年2月2日 防衛大臣記者会見」
  3. 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
  4. 内閣府「令和8年度『防災週間』及び『火山防災の日』について」
  5. 農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」